こんにちは、フルタニです。
今日は、柿内尚文さんの著書 『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』 を紹介します。この本、タイトルからしてすでにユニークですが、中身はさらに奥深い。「考える」ことが苦手だなと感じている人や、アイデアが行き詰まる人にはピッタリの一冊です。
「 パン屋ではおにぎりを売れ 」――思考を広げ、深める地味だけど一生役立つ技術とは?
パン屋でおにぎり? 発想の自由度が勝負の鍵!
この本のタイトルにある「パン屋でおにぎりを売れ」は、いわば「既存の枠を外し、考える力を養え」というメッセージです。普通なら「パン屋ではパンを売るべきだろう」と考えますよね。でも、これってまさに思考の堂々巡りに陥った状態。
柿内さんは、アイデアというのは 「浮かんでくるものではなく、つくるもの」 だと強調しています。
「考えること」は、ただ頭を悩ませるのではなく、発想を生み出すための具体的な方法を学び、実践する作業なんです。
ラテラルシンキングの魅力
本書の中心テーマは、いわゆる 「ラテラルシンキング(水平思考)」。従来のロジカルシンキング(垂直思考)が順序立てて深掘りする思考法なのに対し、ラテラルシンキングは枠を外して横へ横へと考えを広げる手法です。
例として、本書では以下のメソッドが紹介されています:
かけあわせ法
「パン × おにぎり」など、一見無関係なもの同士を組み合わせることで新しい価値を生む方法。
例:
• カフェでコインランドリーを併設 → 「洗濯しながら一息つける空間」
• 電車の車内広告 × 動画QRコード → 「動く広告」
数珠つなぎ連想法
ひとつの言葉から、次々と関連するイメージをつなげていく。これは特に、アイデア出しの初期段階で役立ちます。
例:
「おにぎり」 → 米 → 炊飯器 → 家庭 → 温もり → 旅先の思い出
ずらす法
既存のアイデアを、ターゲットや目的を少しだけ変えて新しい価値を生む手法。
例:
• カップラーメン → 小腹満たし → お湯を使わない「そのままスナックラーメン」
脱2択
問題を「AかBか」の二者択一にするのではなく、別の選択肢を模索する方法です。
具体例:
「今の仕事を続けるか辞めるか」という二択を考えている場合、「部署異動する」「副業を始める」「転職活動を続けながら働く」 といった選択肢を加えてみます。
ポイント:
• 選択肢を増やすことで、新しい可能性が見えてきます。
• 「この2つしかない」と思い込むのは思考停止のサイン。
まとめる法
バラバラな情報やアイデアを、一つの形に整理・統合する方法です。
具体例:
複数の機能を持つガジェット(例:スマートフォン)は、カメラや音楽プレイヤー、スケジュール帳などを一つにまとめた発明です。
ポイント:
• 共通の目的やテーマを見つけて、ばらつきを整理する。
• 一見バラバラな要素を「共通点」でつなげると、新たな価値が生まれる。
あったらいいな法
「こんなものがあれば便利」「こういう仕組みが欲しい」という発想を出発点にする方法です。
具体例:
• 「靴のサイズが合わない人が多い」→「自動でサイズ調整する靴」
• 「飲み物がすぐ冷めてしまう」→「温度を保つスマートカップ」
ポイント:
• 些細な不満や日常の困りごとから発想を広げる。
• 小さな「いいな」をキャッチする感度を磨く。
考えを深める方法:360度分解法
物事をあらゆる角度から分解して考え直す方法です。
具体例:
「新しい飲食店を始める」というアイデアを分解する場合:
• ターゲット: 若者、家族、働く人など異なる視点から考える
• 提供するもの: 食事だけでなく「くつろぎ」「エンタメ」なども含む
• 立地: 街中、郊外、駅前などの選択肢を検討
ポイント:
• 一つの視点に固執せず、別の視点を取り入れる。
• 「常識的な答え」から意識的に外れる努力をする。
ポジティブ価値法
ネガティブに捉えられがちな事象を、ポジティブな価値として捉え直す方法です。
具体例:
• 雨の日 → 「静かに読書や映画を楽しめるチャンス」
• ミスや失敗 → 「改善点が見つかった貴重な経験」
ポイント:
• 問題や不満を「価値」に変える視点を持つ。
• 他者にも同じ価値を提供できるかを考える。
自分ゴト・あなたゴト・社会ゴト
アイデアや課題を、自分、相手、そして社会という3つの視点で考える方法です。
具体例:
「環境保護活動」をテーマに:
• 自分ゴト: ゴミの分別や再利用など、個人でできること
• あなたゴト: 家族や友人と共有できる取り組み
• 社会ゴト: 企業や地域で推進できる大きな取り組み
ポイント:
• 視点を広げて、「自分だけ」ではなく他者や社会全体の目線を取り入れる。
• 共感を生むアイデアが生まれやすくなる。
すごろく法
一つのアイデアを「次にどう展開できるか」を、すごろくのように段階を踏んで発展させる方法です。
具体例:
「オンライン講座を開設する」を考える場合:
1. 基礎的なテーマで始める
2. 中級者向けの講座を追加
3. 受講者同士のコミュニティを作る
4. 実地イベントやワークショップを開催
ポイント:
• 小さなステップを積み重ねることで、大きな成果につなげる。
• 最終的なゴールを意識しつつ、途中での調整も可能。
正体探し
問題やアイデアの本質を突き止めるための分析方法です。
具体例:
「売上が伸びない」という問題に対し:
• 「商品が悪いのか?」
• 「ターゲットが合っていないのか?」
• 「宣伝方法に問題があるのか?」
根本原因を分解し、真の課題を見つけ出します。
ポイント:
• 問題を小さく分解する。
• 表面的な要因だけで結論を出さない。
キャッチコピー法
目を引くフレーズや印象に残る言葉を考える手法です。
具体例:
「ただの飲み物」→「疲れを癒すリフレッシュドリンク」
「普通の靴」→「一日中快適なスマートシューズ」
ポイント:
• 短く、シンプルに。
• 価値を伝えるだけでなく、感情に訴えかける表現を目指す。
• 比喩や対比を活用することで印象を強める。
これらの方法を活用すれば、日常の課題解決やアイデア出しがもっとスムーズになります。それぞれ自分に合った手法を見つけて、楽しく実践してみてください!
考え方を変える「3600度分解法」
「物事をあらゆる角度から考える」というのが本書の核です。
一つのアイデアをぐるっと全方向から見直す「3600度分解法」という手法が紹介されているのですが、これは具体的に次の3つのステップを踏むことで実践できます:
1. 主観を捨てる
アイデアを、自分の価値観ではなく他者目線で考える。たとえば、「パン屋でおにぎりを売る」という案に対して、「パン好きではない人」や「旅行者」の視点で考える。
2. 一度要素を分解する
「パン」も「おにぎり」も、それぞれ「主食」「手軽さ」「温かさ」などの要素に分解してみる。この過程で新たな発見が生まれます。
3. ポジティブに再構築する
出てきた要素を、すべて「何が面白いか」「何が役立つか」という視点で再構築していく。
失敗を恐れず、反省して次に活かす
柿内さんは、「考える練習」として、まずはトライし、失敗して学ぶことが重要だと説いています。
「失敗を振り返り、明確な原因を掴む」 → 「次に活かす」 というプロセスを繰り返すことで、思考力は磨かれていくのだとか。
実生活での活用例
この本を読んで、早速試してみたくなるのが「考える技術」です。
たとえば、日常生活でも「パン屋でおにぎりを売れ」的な発想を取り入れると、次のようなことができるかもしれません:
• 仕事: 「上司に提出する資料を、文章ではなく図解で伝える」
• 家事: 「掃除を、子どもの遊びとして楽しめる仕組みに変える」
• 趣味: 「好きな映画のレビューをただ書くのではなく、ランキング形式にする」
まとめ:考える力は一生モノの武器
『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』は、単なるビジネス書ではありません。
私たちが日常で陥りがちな「思考の堂々巡り」から抜け出し、自由な発想を手に入れるための一冊です。地味な練習が必要な部分もありますが、そのプロセス自体が楽しいと感じられる内容でした。
思考を広げ、深め、時にずらす。この「考える技術」、ぜひみなさんも試してみてください!